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先取特権/先取特権の効力

先取特権の効力の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

先取特権の効力に関する条文は、目的物が第三者に引き渡された後どうなるか、他の担保物権と競合したときの優劣、そして一般の先取特権や不動産の先取特権(保存・工事・売買)が誰の財産からどの順序・条件で弁済を受けられるかを定めています。実務では、不動産の先取特権は登記の時期を誤ると優先権を失う点、一般の先取特権は配当加入を怠ると登記済みの第三者に対抗できなくなる点に注意が必要です。

先取特権の効力
条文場面効力のポイント
333条第三取得者へ引渡し後動産に行使不可
334条動産質権と競合質権者は第一順位者と同順位
335条一般の先取特権まず動産→不足時のみ不動産
336条一般の先取特権の対抗力登記なくても無担保債権者に対抗可
337条不動産保存の先取特権保存行為完了後直ちに登記
338条不動産工事の先取特権着手前に予算額を登記、超過分は対象外
339条登記済みの保存・工事の先取特権抵当権より先に行使可
340条不動産売買の先取特権契約と同時に代金・利息未払を登記
341条抵当権規定の準用性質に反しない範囲で準用
  • 335条3項:配当加入を怠ると、その分については登記した第三者に先取特権を行使できない
  • 335条4項:代価の配当順序があらかじめ定められている場合は335条1〜3項は適用されない
  • 336条ただし書:登記した第三者に対しては一般の先取特権を対抗できない
  • 338条1項後段:工事費用が予算額を超えた場合、超過額については先取特権が存在しない
  • 338条2項:工事による不動産の増価額は、配当加入の時に裁判所選任の鑑定人が評価する
  • 341条:先取特権の効力は、その性質に反しない限り抵当権の規定を準用する
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先取特権の効力

先取特権の効力について、条文は何を定めているか。

第333条先取特権と第三取得者第三者に引き渡すと行使不可に1項判例 2件
  • 目的の動産が第三取得者に渡ると先取特権は行使できなくなる
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第334条先取特権と動産質権との競合動産質権と競合時は同順位扱い1項判例なし
  • 動産質権者は第一順位の先取特権者と同じ権利を持つ
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第335条一般の先取特権の効力一般の先取特権の弁済順序4項判例なし
  • まず不動産以外の財産から弁済を受ける
  • 不足時のみ、特別担保のない不動産から弁済を受ける
  • 配当加入を怠ると登記済み第三者に対抗できない
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第336条一般の先取特権の対抗力登記なしでも無担保債権者に対抗可1項判例なし
  • 一般の先取特権は登記不要で無担保債権者に対抗できる
  • ただし登記した第三者には対抗できない
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第337条不動産保存の先取特権の登記保存行為後すぐに登記が必要1項判例なし
  • 不動産保存の先取特権は保存行為完了後直ちに登記する
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第338条不動産工事の先取特権の登記工事前に予算額の登記が必要2項判例 2件
  • 工事を始める前に費用の予算額を登記する
  • 実際費用が予算額を超えた分には先取特権が発生しない
  • 増価額は配当加入時に裁判所選任の鑑定人が評価する
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第339条登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権登記済みなら抵当権より優先行使1項判例なし
  • 登記済みの保存・工事の先取特権は抵当権より先に行使できる
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第340条不動産売買の先取特権の登記契約と同時に代金未払を登記1項判例なし
  • 不動産売買の先取特権は契約と同時に代金・利息の未払いを登記する
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第341条抵当権に関する規定の準用性質に反しない限り抵当権規定を準用1項判例なし
  • 先取特権の効力は抵当権の規定を性質に反しない範囲で準用する
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第333条民法

一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力

二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴え

三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例

裁判要旨一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物に及ぶ。

二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができる。

三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和62年11月10日 昭和57(オ)1408
登載
民集 第41巻8号1559頁
参照法条
民法85条,民法178条,民法181条,民法183条,民法333条,民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,競売法3条
論点2第333条民法

動産の買主が転売先から取り戻した右動産を売主に対する売買代金債務の代物弁済に供した行為が破産法七二条四号による否認の対象になるとされた事例

裁判要旨甲から動産を買い受けた乙がこれを丙に転売して引き渡したことにより、甲が右動産に対して動産売買の先取特権を行使し得なくなったところ、その後に支払を停止した乙が、右動産を甲に返還する意図の下に、丙との間で転売契約を合意解除して右動産を取り戻した上、甲に対する右動産の売買代金債務の代物弁済に供したなど判示の事実関係の下においては、乙が右動産を代物弁済に供した行為は、破産法七二条四号による否認の対象になる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 平成9年12月18日 平成7(オ)863
登載
民集 第51巻10号4210頁
参照法条
破産法72条4号,民法322条,民法333条
論点3第338条民法

建物新築による不動産工事の先取特権保存の登記につき建物の所在地番の更正が許されないとされた事例

裁判要旨原審確定の事実関係(原判決参照)のもとにおいて、建物新築による不動産工事の先取特権保存の登記につき建物の所在地番を更正することは、登記の同一性を失わしめるものとして許されない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和50年10月29日 昭和49(行ツ)89
登載
集民 第116号427頁
参照法条
民法338条,不動産登記法63条,不動産登記法136条
論点4第338条民法

不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額の決定に反映されていないことが同先取特権によって優先弁済を受けるべき実体的権利に与える影響の有無

裁判要旨不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額の決定に反映されていないことは,同先取特権の被担保債権が優先弁済を受けるべき実体的権利に影響を与えない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成14年1月22日 平成11(受)1244
登載
集民 第205号107頁
参照法条
民法327条,民法338条2項
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第333条(先取特権と第三取得者) 詳細ページ
(先取特権と第三取得者)
第三百三十三条先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
民法 第334条(先取特権と動産質権との競合) 詳細ページ
(先取特権と動産質権との競合)
第三百三十四条先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。
民法 第335条(一般の先取特権の効力) 詳細ページ
(一般の先取特権の効力)
第三百三十五条一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。
民法 第336条(一般の先取特権の対抗力) 詳細ページ
(一般の先取特権の対抗力)
第三百三十六条一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。
民法 第337条(不動産保存の先取特権の登記) 詳細ページ
(不動産保存の先取特権の登記)
第三百三十七条不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。
民法 第338条(不動産工事の先取特権の登記) 詳細ページ
(不動産工事の先取特権の登記)
第三百三十八条不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
2工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
民法 第339条(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権) 詳細ページ
(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
第三百三十九条前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
民法 第340条(不動産売買の先取特権の登記) 詳細ページ
(不動産売買の先取特権の登記)
第三百四十条不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。
民法 第341条(抵当権に関する規定の準用) 詳細ページ
(抵当権に関する規定の準用)
第三百四十一条先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する。
出

一次情報

原文ママ

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