民法 / テーマ別まとめ

所有権の限界/所有権の内容及び範囲

所有権の内容及び範囲の条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

所有権者が自分の物をどこまで自由に扱えるか、そして土地の所有権が上下にどこまで及ぶかを定めたのが本テーマです。第206条は所有権の中身(使用・収益・処分の自由と法令による制限)を、第207条は土地所有権が及ぶ範囲を規定しています。実務では、権利の自由さと同時に「法令の制限内」という枠がある点を押さえておく必要があります。

所有権の内容及び範囲
条文対象内容制限
第206条所有物一般使用・収益・処分の自由法令の制限内
第207条土地地上・地下に権利が及ぶ法令の制限内
第208条―削除(規定なし)―
  • いずれの条文も「法令の制限内において」という留保付きである。
  • 第208条は削除されており、現在は規定が存在しない。
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所有権の内容及び範囲

所有権の内容及び範囲について、条文は何を定めているか。

第206条所有権の内容所有物は法令の範囲内で自由に扱える1項判例 15件
  • 使用・収益・処分のすべてを自由に行う権利がある
  • ただし法令による制限がある場合はその範囲内に限られる
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第207条土地所有権の範囲土地所有権は地上・地下にも及ぶ1項判例なし
  • 土地の所有権はその土地の上空・地下にも及ぶ
  • こちらも法令の制限内であることが条件
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第208条削除済みで現在は規定なし1項判例なし
  • 条文自体が削除されており内容はない
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第206条民法

美術の著作物の原作品につきその無体物の面を利用する行為と所有権侵害の成否

裁判要旨美術の著作物の原作品の所有者でない者が、有体物としての原作品に対する所有者の排他的支配権能をおかすことなく原作品の無体物としての著作物の面を利用しても、原作品の所有権を侵害するものとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和59年1月20日 昭和58(オ)171
登載
民集 第38巻1号1頁
参照法条
民法206条,著作権法2条1項1号,著作権法45条1項
論点2第206条民法

譲渡担保の設定者と不法占有者に対する目的物件の返還請求権

裁判要旨譲渡担保の設定者は、正当な権原なく目的物件を占有する者に対し、その返還を請求することができる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月28日 昭和56(オ)1209
登載
集民 第137号255頁
参照法条
民法206条,民法369条(譲渡担保)
論点3第206条民法

一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂と公有水面の地盤から独立した動産としての存在
二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂を埋立権とは別個に譲渡することの可否

裁判要旨一 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、その投入によつて直ちに公有水面の地盤に附合して国の所有となることはなく、原則として、埋立工事の竣功認可の時に埋立権者の取得する埋立地に附合するものであつて、その時までは、独立した動産としての存在を失わない。
二 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、動産としての独立性を失わない限り、埋立権とは別個にこれを譲渡することができる。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年6月17日 昭和54(オ)736
登載
民集 第36巻5号824頁
参照法条
民法86条2項,民法206条,民法242条,民法247条1項,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)16条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)24条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)35条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)36条
論点4第206条民法

一 一筆の土地の一部分の売買契約においてその対象である土地部分が具体的に特定していないとされた事例
二 多数持分権者との間の売買契約に基づいて共有地の一部分の引渡を受けた者に対する少数持分権者からの返還請求ができないとされた事例

裁判要旨一 一筆の土地の一部分の売買契約において、売却部分の面積が六〇坪となるよう右土地の南端から八メートル余の地点で東西に線を引くと楠の根がかかることになり、また、その西側部分については、後日、東西の市道からの進入路を拡幅するために必要な部分を買主において提供することが予定されていたので、売買契約書上では約六〇坪と表示し、分筆・移転登記の際の正確な測量に基づいて売り渡すべき土地の範囲を確定することにしたときは、売買の対象である土地部分が具体的に特定しているとはいえない。
二 多数持分権者が、共有地の一部分についての売買契約を締結し、具体的な土地の範囲を確定しないまま、おおよその部分を買主に引き渡してこれを占有使用させているときは、右占有使用の承認が共有者の協議を経ないものであつても、少数持分権者は、当然には買主に対して右土地部分の返還を請求することができない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和57年6月17日 昭和56(オ)742
登載
集民 第136号111頁
参照法条
民法206条,民法249条,民法252条,民法555条
論点5第206条民法

権原のない者が他人の土地に植栽した樹木またはその苗木の所有権の帰属および植栽者の収去義務

裁判要旨権原のない者が他人の土地に植栽した樹木またはその苗木は、土地所有者がその所有権を取得し、植栽者においてこれを収去する義務を負わないものと解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和46年11月16日 昭和46(オ)151
登載
集民 第104号295頁
参照法条
民法242条,民法206条
論点6第206条民法

一、不法の原因により未登記建物を贈与した贈与した場合その引渡は民法七〇八条にいう給付にあたるか
二、所有権に基づく返還請求と民法七〇八条
三、建物の所有者のした贈与に基づく履行行為が不法原因給付にあたる場合における右建物の所有権の帰すう
四、建物の贈与が不法原因給付であつてその所有権が受贈者に帰属した場合における受贈者に対する登記手続請求の許否

裁判要旨一、不法の原因により未登記建物を贈与した場合、その引渡は、民法七〇八条〈不法原因給付〉にいう給付にあたる。
二、建物の贈与に基づく引渡が不法原因給付にあたる場合に、贈与者は、目的物の所有権が自己にあることを理由として、右建物の返還を請求することはできない。
三、建物の所有者のした贈与に基づく履行行為が不法原因給付にあたる場合には、贈与者において給付した物の返還を請求できないことの反射的効果として、右建物の所有権は、受贈者に帰属するに至ると解するのが相当である。
四、未登記建物の贈与が不法原因給付であつてその所有権が受贈者に帰属した場合において、贈与者が右建物につき所有権保存登記を経由したときは、受贈者が贈与者に対し建物の所有権に基づいて右所有権保存登記の抹消登記手続を請求することは、不動産物権に関する法制の建前からいつて許されるものと解すべきである。
裁判
最高裁判所大法廷 昭和45年10月21日 昭和41(オ)436
登載
民集 第24巻11号1560頁
参照法条
民法708条,民法206条,民法177条
論点7第206条民法

建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物から退去を求める訴訟において右占有者が建物敷地に独立の占有権原を有するとの主張は抗弁となりえないとされた事例

裁判要旨本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和40年7月23日 昭和39(オ)1308
登載
集民 第79号951頁
参照法条
民法206条,民訴法137条
論点8第206条民法

所有権に基づく土地明渡請求が権利の濫用であるとされた事例。

裁判要旨国が所有者から賃借して占領軍に提供し、空軍基地地域の一部として使用させていた土地を、占領状態終結とともに、契約期間の満了によつて賃借権を失つた後も、引き続き、駐留軍に提供して使用させている場合において、国の駐留軍に対する右提供が条約上の義務履行としてなされているものであり、かつ、右土地が現にガソリンの地下貯蔵設備の用地として使用されていて、その明渡によつて所有者の受ける利益に比し国のこうむる損害がより大である等判示の事情があるときは、所有者の国に対する右土地明渡請求は、私権の本質である社会性、公共性を無視する過当な請求として許されないものと解するのが相当である。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年3月9日 昭和35(オ)563
登載
民集 第19巻2号233頁
参照法条
民法1条,民法206条
論点9第206条民法

家屋の賃借人と家屋敷地の占有。

裁判要旨家屋を賃借居住する者は、家屋敷地を占有する。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年3月16日 昭和39(オ)708
登載
集民 第78号317頁
参照法条
民法180条,民法206条
論点10第206条民法

所有権妨害排除請求権に基づき仮登記の抹消請求を肯定した事例。

裁判要旨建物を買受け所有権移転請求権保全の仮登記を得た甲が右建物を乙に譲渡した場合、乙から甲に対し所有権妨害排除請求権に基づき、右仮登記の抹消登記手続を請求できる。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和40年2月23日 昭和38(オ)281
登載
集民 第77号499頁
参照法条
民法206条,不動産登記法2条
論点11第206条民法

一 家屋所有者の家屋保存のための工事と家屋使用者の工事妨害
二 判決主文の表現が不明確でないとされた事例

裁判要旨一 家屋所有者が、その家屋保存のため必要とする限度において修繕改築等の工事をする場合、右家屋を使用する者は、賃借権の有無にかかわらず右工事を妨害してはならない。
二 「被告等は原告等の右家屋の修繕及び模様替工事をなすに必要な期間中必要部分を占有使用することを妨害してはならない。」との判決主文は、判決理由と対照して内容不明確ではない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和37年2月20日 昭和34(オ)191
登載
集民 第58号745頁
参照法条
民法206条,民法606条,民訴法191条1項
論点12第206条民法

一 「分筆の上」登記を命ずる判決と「申立テザル事項」
二 一筆の土地の一部の売買

裁判要旨一 一筆の土地全部の所有権移転登記手続を求める請求において、その土地の一部につき「分筆の上」所有権移転登記手続をなすべき旨の判決をしても、「申立テザル事項ニ付判決ヲ為シ」たことにはならない。
二 一筆の土地の一部といえども、売買の目的とすることをうべく、その部分が具体的に特定しているかぎりは、右部分につき分筆手続未了前においても、買主はその部分につき所有権を取得することができる。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和30年6月24日 昭和28(オ)847
登載
民集 第9巻7号919頁
参照法条
民訴185条,民法176条,民法177条,民法206条,不動産登記法79条,不動産登記法46条ノ2
論点13第206条民法

甲所有地上の建物所有者乙がこれを丙に譲渡した後もなお登記名義を保有する場合における建物収去・土地明渡義務者

裁判要旨甲所有地上の建物を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記を経由した乙は、たとい右建物を丙に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、甲に対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成6年2月8日 平成4(オ)602
登載
民集 第48巻2号373頁
参照法条
民法177条,民法200条,民法206条
論点14第206条民法

動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在しその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,その所有権が担保権の性質を有することを理由として撤去義務や不法行為責任を免れるか

裁判要旨動産の購入代金を立替払した者が,立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権原を有せず,その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは,所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,上記弁済期が到来するまでは,特段の事情がない限り,撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,上記弁済期が経過した後は,留保された所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 平成21年3月10日 平成20(受)422
登載
民集 第63巻3号385頁
参照法条
民法206条,民法369条(所有権留保),民法709条
論点15第206条民法

競走馬の所有者が当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対しいわゆる物のパブリシティ権の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることの可否

裁判要旨競走馬の所有者は,当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対し,その名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利(いわゆる物のパブリシティ権)の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることはできない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成16年2月13日 平成13(受)866等
登載
民集 第58巻2号311頁
参照法条
民法198条,民法199条,民法206条,民法709条,知的財産基本法2条2項

関連する会計・監査の基準

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原

条文原文

原文ママ

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民法 第206条(所有権の内容) 詳細ページ
(所有権の内容)
第二百六条所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
民法 第207条(土地所有権の範囲) 詳細ページ
(土地所有権の範囲)
第二百七条土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。
民法 第208条 詳細ページ
第二百八条削除
出

一次情報

原文ママ

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