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婚姻の成立/婚姻の無効及び取消し

婚姻の無効及び取消しの条文と、裁判所が付した判示事項から整理しています。

原文解釈このページは論点を軸に条文と判例を横断して整理したものです。論点の名称と構成は当サイトの整理であり、条文上の区分ではありません。リード文・要点・比較表も当サイトによる解釈です。条文原文と判例の判示事項・裁判要旨は転記です。

民法742条から749条は、婚姻が無効となる場合と取り消すことができる場合を定めています。無効・取消しそれぞれについて、原因、請求できる人、期間の制限、取消しの場合の効果までを規定しています。

婚姻の無効及び取消し
区分原因請求できる人期間制限
無効(意思なし)婚姻をする意思がない――
無効(届出なし)婚姻の届出をしていない――
取消し(不適法な婚姻)法律で定めた婚姻の要件に違反各当事者・親族・検察官当事者死亡後は検察官不可
取消し(不適齢者の特則)婚姻適齢に達していない場合各当事者・親族・検察官適齢到達後3か月で消滅
取消し(重婚の特則)重ねての婚姻(前婚あり)前婚の配偶者も請求可―
取消し(詐欺・強迫)詐欺又は強迫による婚姻当事者本人発見・強迫免れ後3か月で消滅
  • 742条2号ただし書:届出の方式(739条2項)の不備だけなら無効にはならない
  • 743条:取消しができるのは744条・745条・747条の場合に限られる
  • 744条ただし書:検察官は当事者の一方が死亡した後は取消しを請求できない
  • 745条2項ただし書:適齢到達後に追認したときは3か月以内でも取消し請求できない
  • 748条:取消しは将来に向かってのみ効力を生じ、善意者は現存利益の範囲、悪意者は全部返還+相手方善意なら損害賠償
  • 749条:離婚に関する規定(728条1項、766~769条、790条1項ただし書、819条2項・3項・5~7項)を取消しに準用
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婚姻の無効及び取消し

婚姻の無効及び取消しについて、条文は何を定めているか。

第742条婚姻の無効婚姻が無効になる場合を限定1項・2号判例 11件
  • 当事者に婚姻をする意思がないときは無効
  • 婚姻の届出をしていないときも無効
  • 届出の方式(739条2項〈婚姻の届出〉)の不備だけなら無効にならない
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第743条婚姻の取消し取消しは744・745・747条〈詐欺又は強迫による婚姻の取消し〉の場合に限定1項判例なし
  • 婚姻の取消しは744条〈不適法な婚姻の取消し〉・745条〈不適齢者の婚姻の取消し〉・747条〈詐欺又は強迫による婚姻の取消し〉の規定による場合に限る
  • それ以外の理由では取消しできない
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第744条不適法な婚姻の取消し不適法な婚姻は関係者から取消し請求できる2項判例 1件
  • 731・732・734~736条〈養親子等の間の婚姻の禁止〉違反の婚姻は各当事者・親族・検察官が取消し請求可
  • 検察官は当事者の一方が死亡した後は請求できない
  • 重婚(732条〈重婚の禁止〉違反)の場合は前婚の配偶者も請求できる
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第745条不適齢者の婚姻の取消し不適齢婚の取消しには期限がある2項判例なし
  • 不適齢者が適齢に達したら取消し請求はできなくなる
  • 適齢に達した後も3か月間は請求できる
  • 適齢に達した後に追認すると請求できなくなる
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第746条旧規定は削除され現在は欠番1項判例なし
  • 746条は削除されており規定内容はない
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第747条詐欺又は強迫による婚姻の取消し詐欺・強迫による婚姻は取消し可能2項判例なし
  • 詐欺又は強迫によって婚姻した者は家庭裁判所に取消しを請求できる
  • 詐欺発見または強迫を免れてから3か月経過で取消権が消滅
  • 追認をしたときも取消権は消滅する
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第748条婚姻の取消しの効力取消しの効果は将来に向かってのみ3項判例なし
  • 婚姻の取消しは遡及せず将来に向かってのみ効力を生じる
  • 原因を知らなかった当事者は現存利益の限度で返還
  • 原因を知っていた当事者は得た利益の全部を返還し、相手方が善意なら損害賠償
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第749条離婚の規定の準用離婚に関する規定を取消しにも準用1項判例 1件
  • 728条1項〈離婚等による姻族関係の終了〉、766~769条〈離婚による復氏の際の権利の承継〉、790条1項〈子の氏〉ただし書を準用
  • 819条2項〈離婚又は認知の場合の親権者〉・3項・5項~7項(親権関連)も準用
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論

主要な論点と判例

原文ママ

論点の見出しと結論は、裁判所が付した判示事項・裁判要旨をそのまま転記しています。文中の〈 〉内は条文の見出しを当サイトが補ったものです。

論点1第742条民法

届出意思を欠いた協議離婚の無効の性質、

裁判要旨当事者の意思に基づかない離婚届が受理されたことによる協議離婚は、その無効を確認する審判又は判決の確定をまつまでもなく、当然無効である。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和53年3月9日 昭和52(オ)1339
登載
集民 第123号181頁
参照法条
民法742条
論点2第742条民法

届出意思の欠缺による婚姻の無効とその追認の効力

裁判要旨事実上の夫婦の一方が他方の意思に基づかないで婚姻届を作成提出した場合において、当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、かつ、のちに他方の配偶者が届出の事実を知つてこれを追認したときは、右婚姻は追認によりその届出の当初に遡つて有効となると解すべきである。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月25日 昭和45(オ)238
登載
民集 第26巻6号1263頁
参照法条
民法742条1号,民法116条
論点3第742条民法

婚姻の届書が受理された当時本人が意識を失つていた場合と婚姻の届出の効力

裁判要旨事実上の夫婦共同生活関係にある者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、届書の受理された当時意識を失つていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届書の受理により婚姻は有効に成立する。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和44年4月3日 昭和41(オ)1317
登載
民集 第23巻4号709頁
参照法条
民法739条,民法742条
論点4第742条民法

届出人の氏名が戸籍法施行規則六二条二項所定の事由の記載なく代書された離婚届の受理と離婚の成否

裁判要旨届出人の氏名が代書され、戸籍法施行規則六二条二項所定の事由の記載を欠いていても、その届出が受理された以上、その離婚は有効に成立する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年1月31日 昭和43(オ)1130
登載
集民 第94号193頁
参照法条
民法739条,民法742条,戸籍法施行規則62条2項
論点5第742条民法

民法七四二条一号〈婚姻の無効 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。〉にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」の意義

裁判要旨民法七四二条一号〈婚姻の無効 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。〉にいう「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは、婚姻は効力を生じない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和44年10月31日 昭和42(オ)1108
登載
民集 第23巻10号1894頁
参照法条
民法742条
論点6第742条民法

婚姻届出の意思を欠くことを理由に婚姻無効の訴が認容された事例

裁判要旨(省略)
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和43年5月24日 昭和43(オ)119
登載
集民 第91号99頁
参照法条
民法742条1号
論点7第742条民法

協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力。

裁判要旨合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年8月7日 昭和32(オ)508
登載
民集 第13巻10号1251頁
参照法条
民法763条,民法764条,民法742条,民法802条
論点8第742条民法

婚姻無効確認の訴を提起し得べき第三者。

裁判要旨当事者の意思に基く届出を欠いた婚姻については、第三者もその利益があるかぎり無効確認の訴を提起し得べく、右第三者が当該婚姻届出書類を偽造した本人であるからといつてこれを別異に解すべきではない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 昭和34年7月3日 昭和32(オ)764
登載
民集 第13巻7号905頁
参照法条
民法742条,旧民法(昭和22年法律222号による改正前のもの)78条,人事訴訟手続法2条2項
論点9第742条民法

前婚につき離婚無効、後婚につき婚姻取消の確定判決をうけた者のなす前婚についての離婚の訴の許否

裁判要旨妻が有効に離婚が成立したものと信じて、他の男子と婚姻をなした後、先夫から前婚についての離婚無効確認および後婚についての婚姻取消の訴を提起せられ、右各訴はいずれも妻の敗訴に確定した場合であつても、前婚につき、婚姻を継続し難い重大な事由があることを理由として、妻が離婚の訴を提起することを妨げるものではない。
裁判
最高裁判所第一小法廷 昭和32年4月11日 昭和30(オ)899
登載
民集 第11巻4号629頁
参照法条
民法770条,民法765条,民法742条,民法732条
論点10第742条民法

夫婦の一方が提起した婚姻無効確認請求訴訟における原告の死亡と訴訟の帰すう

裁判要旨夫婦の一方が他方を相手方として提起した婚姻無効確認請求訴訟は、原告の死亡により、当然終了する。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成元年10月13日 昭和63(オ)601
登載
集民 第158号75頁
参照法条
民法742条,民訴法208条1項,人事訴訟手続法2条1項
論点11第742条民法

婚姻当事者以外の利害関係人の身分上の地位に及ぼす影響を考慮して婚姻無効確認請求が信義則に反するとはいえないとされた事例

裁判要旨甲の父が甲の意思に基づかないで甲乙の婚姻の届出をした場合において、甲が右届出がされたことを知らずに丙との婚姻の届出をして二人の子をもうけたため、甲乙の婚姻が無効でないとされると甲丙の婚姻が重婚に該当するとして取り消される等婚姻当事者以外の利害関係人の身分上の地位に重大な影響を及ぼすおそれがあるなど判示の事実関係の下においては、甲と乙との間には実質的婚姻関係が継続し、乙としては甲の父が甲の意向を受けて右届出をしたと思っても不合理ではなかったなど判示の事情があったとしても、甲が届出意思の不存在を主張して甲乙の婚姻の無効確認請求をすることは、信義則に反するとはいえない。
裁判
最高裁判所第二小法廷 平成8年3月8日 平成4(オ)673
登載
集民 第178号787頁
参照法条
民法1条,民法742条
論点12第744条民法

重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否

裁判要旨重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。
裁判
最高裁判所第三小法廷 昭和57年9月28日 昭和54(オ)226
登載
民集 第36巻8号1642頁
参照法条
民法732条,民法744条,民法749条
原

条文原文

原文ママ

e-Gov法令検索から取得した原文を、号・イロハまで省略せずに掲載しています。

民法 第742条(婚姻の無効) 詳細ページ
(婚姻の無効)
第七百四十二条婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
二当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。
民法 第743条(婚姻の取消し) 詳細ページ
(婚姻の取消し)
第七百四十三条婚姻は、次条、第七百四十五条及び第七百四十七条の規定によらなければ、取り消すことができない。
民法 第744条(不適法な婚姻の取消し) 詳細ページ
(不適法な婚姻の取消し)
第七百四十四条第七百三十一条、第七百三十二条及び第七百三十四条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
2第七百三十二条の規定に違反した婚姻については、前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。
民法 第745条(不適齢者の婚姻の取消し) 詳細ページ
(不適齢者の婚姻の取消し)
第七百四十五条第七百三十一条の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない。
2不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。
民法 第746条 詳細ページ
第七百四十六条削除
民法 第747条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し) 詳細ページ
(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
第七百四十七条詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
民法 第748条(婚姻の取消しの効力) 詳細ページ
(婚姻の取消しの効力)
第七百四十八条婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
2婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。
3婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。
民法 第749条(離婚の規定の準用) 詳細ページ
(離婚の規定の準用)
第七百四十九条第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書並びに第八百十九条第二項、第三項及び第五項から第七項までの規定は、婚姻の取消しについて準用する。
出

一次情報

原文ママ

条文は e-Gov法令検索、判例は裁判所ウェブサイトから取得しています。